マニアな旅・散策
2017.12.28
前作である第2作「続・男はつらいよ」の公開は1969年11月。それから僅か2ヵ月後、年明け1970年1月に第3作「男はつらいよ・フーテンの寅」が完成し公開されました。
ハイペースでの制作スケジュールの中、山田洋次監督は脚本に回り、監督は喜劇映画で知られる森崎東さんが務めました。
シリーズ中、この第3作と第4作「新・男はつらいよ」(小林俊一監督)の2作品は山田洋次監督の作品ではありません。当然のことながら演出や作風が異なった寅さん映画となっていることは良く聞かれる話です。
そうはいってもこの第3作も鉄道の貴重な映像が登場することに変わりはありません。
冒頭、寅さんが風邪をひいて寝込んでいる旅先の旅館は、長野県奈良井宿の旅館・越後屋さんです。宿の脇をSLが力強く煙を立てて走り本編が始まります。
越後屋(長野県塩尻市奈良井宿)
越後屋さんには、2012年8月に宿泊をさせていただきましたが、創業は寛政年間、200余年の歴史を誇る旅館です。
ホームページによると、1日2組限定で予約を受け付けているそうですから、宿泊できたのは大変運が良かったのだと思います。
さて物語は、柴又で寅さんがお見合いをするところから始まります。
相手が昔からの知り合いの女性だったことでひと騒動。結局、寅さんは旅に出ます。
その寅さんですが、今回は旅先のとある旅館で番頭として働いています。そこへ夫婦2人旅でやってきた、おいちゃん、おばちゃんとばったり遭遇します。
寅さんが番頭を務めていたのは、開湯1300年の三重県の湯の山温泉です。
湯の山温泉(三重県菰野町)
当然のことですが、寅さんは宿の女将・お志津さんに惚れて居着いてしまったという話です。
そこへ今度は、志津の弟が登場。芸者の染子がラーメンを食べていたお店で、寅さんと口論となります。
旅館 翠月
ラーメン店の舞台となったのが、趣のある旅館・翠月。ここで寅さんと志津の弟が対決することが決まります。
その場所となったのが、温泉街を流れる三滝川にかかる蒼瀧橋です。
蒼瀧橋
物語の後半には、湯の山温泉にある僧兵の拠点だった天台宗・三嶽寺の「僧兵まつり」のシーンが登場します。
この祭りは、毎年10月に開催されるということですから、ロケは前作・第2作の制作と同時並行で行われたことが想像できます。
ふられて湯の山温泉を後にした寅さんですが、ラストシーンでは鹿児島で船に乗っていました。
そして、第3作の公開から1カ月半後のシリーズ第4作「新・男はつらいよ」へと続いていきます。
掲載情報は2017年12月28日の公開時の情報となります。
公開時と掲載内容が異なる場合がありますので、詳細につきましては直接お問い合わせください。